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ミズーリ州、AIデータセンター承認の議員をリコール

米ミズーリ州インディペンデンス市で9月1日、有権者の68%がジョン・パーキンス市議のリコールに賛成した。5カ月前にネビウスのAIデータセンター向け1506億ドルの債券発行を承認した投票が理由だった。

nullbot 編集部公開日 2026年9月2日約 8 分で読めます出典 (4)
米ミズーリ州インディペンデンス市にある歴史的なジャクソン郡裁判所。この市でデータセンターへの投票をめぐり市議がリコールされた
Antony-22 · CC BY-SA 4.0 · Wikimedia Commons

米ミズーリ州インディペンデンス市北西部の第1選挙区で、2026年9月1日、有権者は市議会議員ジョン・パーキンス氏のリコール(解職請求)を可決した。全投票区の開票が終わった段階で、リコール賛成票は68.05%に達したと市は確認した。2016年から第1選挙区を代表してきたパーキンス氏がリコールの標的となったのは、5カ月前の投票——オランダ企業が建設するAIデータセンターへの税制優遇を承認したこと——が理由だった。これは、AIインフラ計画を承認した地方議員を狙い撃ちする形で米国各地に広がるリコール運動の中でも、これまでで最も明確な結果となった。

このリコール投票が実施されたのは、発起人らが第1選挙区の登録有権者の8%分の署名を集めたためで、その前の数カ月間、投票所へ続く道沿いにはパーキンス氏への賛否を示す看板が立ち並んでいた。第1選挙区のみで実施されたこの特別選挙には、市が約16万4400ドルの費用を負担した。市は火曜夜、「本日の特別選挙の非公式集計結果に基づき、第1選挙区の有権者はジョン・パーキンス議員のリコールに賛成票を投じた」と発表し、リコールは結果が正式に認証された時点で発効し、その後、空席を埋めるための新たな特別選挙が行われると付け加えた。パーキンス氏は地元テレビ局KCTVに対し、リコールがここまで進むとは予想していなかったと語り、結果判明後には結果を争わない意向を示した一方、当初の自身の投票については正当だったとの立場を崩さなかった。「この計画は市に長期的な経済的利益をもたらす」と同氏は述べ、「これまでにない基盤を築いた」と続けた。

1500億ドルの債券計画が街を二分した

パーキンス氏は、3月に賛成5・反対2で可決された計画に賛成票を投じた5人の市議のうちの1人だった。この計画により、オランダのAIクラウド企業ネビウス(Nebius)は、リトルブルー・パークウェイと78号線付近の約400エーカー(約162ヘクタール)の土地に、延べ床面積約19万5000平方メートルの「AI工場」を建設できることになった。市議会は、免税の産業開発歳入債1506億ドルの発行を承認した。これはミズーリ州特有の資金調達手法で、建設期間中の不動産税、動産税、売上税をネビウスが免除される仕組みだ。その見返りとして、ネビウスは20年間で6億5100万ドルの代替納付金(PILOT)を支払う。これは年間3000万ドル以上に相当し、現在平均約8500万ドル規模の市の一般会計にとって大きな額となる。この採決の前には、4時間近くに及ぶ公聴会が開かれ、60人以上の住民が計画への賛否を表明した。

反対の原動力となったのは、税優遇そのものよりも、地域資源への負荷だった。ネビウスの施設は、フル稼働時には約800メガワットの電力を消費すると見込まれており、これはインディペンデンス市が現在自前で発電している電力量のおよそ3倍にあたる。住民らは、小学校2校のすぐそばという立地もあって、水使用量や騒音、不動産価値への影響を公然と懸念していた。「これはより多くのエネルギー、より多くの熱、より多くの騒音、そして今も住民が暮らす谷間への長期的な環境影響を意味する」と、住民のダニエル・ムーアヘッド氏は3月の採決前に市議会で述べた。ネビウスはその後、電力については市の公営電力会社インディペンデンス・パワー・アンド・ライトの送電網に頼るのではなく、民間資本で別途建設する発電所から調達すると表明し、冷却方式についても、カンザスシティ都市圏でメタやグーグル向けにすでに稼働している他の大規模データセンターより大幅に水使用量の少ない、閉ループ方式の冷却システムを採用するとした。一方、支持派は、数年にわたる建設雇用に加えて約125人の恒久雇用が生まれるこの計画は、拒否するには惜しすぎると反論した。公聴会で住民のテリー・マーテル氏は「この計画を進めなければ、市の財政赤字は続く」と訴えた。

選ばれた代表に責任を問えるということを、みんなに知ってほしい。私たちはただ、他の地域の人々にも、選ばれた代表は自分たちに奉仕するためにいるのだということを見てもらいたいのです。それがうまくいっていないとき、私たちが使える手段はごくわずかですが、それでも法律が認めている手段であり、リコールはその一つなのです。

マッケナ・コブ(McKenna Cobb)、リコール請願を組織した第1選挙区の住民

ミズーリ州にとどまらない全国的な潮流

パーキンス氏は、ネビウスとの合意に賛成した5人の市議のうち、議席を失った3人目となった。残る2人はすでに別の選挙で落選していたと、米メディア「トーキング・ポインツ・メモ」は伝えている。ミズーリ州司法長官キャサリン・ハナウェイ氏は、データセンターが「どれだけの水や電力を消費するのかについて、公衆に誤解を招く情報が伝えられていないか、非常に注意深く監視している」と述べており、州議会議員らは、データセンター事業者自身に光熱費用を負担させ、近隣の一般契約者に転嫁させないようにする法案を提出している。

インディペンデンス市は決して孤立した例ではない。バロットピディア(Ballotpedia)のデータをもとに米誌ニューズウィークが7月上旬に報じたところによると、2026年に入ってから、オクラホマ、ミズーリ、ミシガン、テキサス、カリフォルニア、アリゾナ、ウィスコンシンの7州で、データセンターをめぐる決定を理由に最大58人の地方議員がリコール請願の対象となった。環境活動家のエリン・ブロコビッチ氏によれば、同氏が運営する住民からの苦情を追跡する地図には、全米ですでに8000件を超える、この業界に対する苦情が集まっているという。最近の事例には次のようなものがある。

  • オクラホマ州ユーコン市では、データセンターへの土地売却をきっかけに起きたリコール投票を避けるため、副市長のジェフ・ウットン氏が6月に辞職した。
  • ミシガン州オーガスタ・タウンシップでは、データセンター用に農地の用途区分を変更した委員に対し、住民がリコールを請願した。有権者が直接判断すべき問題だったと主張している。
  • カリフォルニア州インペリアル郡では、データセンター計画への道を開く区画統合を承認した理事会議長がリコールの対象となっている。
  • 大規模データセンター投資を積極的に誘致しているテキサス州のサンアンジェロとテンプルでも、市議らがそれぞれリコール運動への対応を迫られている。

全国レベルで見ると、この緊張関係は二つの方向に同時に働いている。トランプ政権は、AI覇権をめぐる競争で中国のような競合国に対する優位を維持するために、データセンターの整備を加速させることが不可欠だと主張してきた。しかし、まさにその同じ整備の加速が、ミズーリからミシガン、アリゾナに至るまで、電気料金や水供給、騒音をめぐる地域住民の反発を煽ってもいる。

日本の自治体や企業にとって何が変わるのか

AIデータセンターの誘致を検討している日本の自治体や企業にとって、インディペンデンス市の事例は他人事ではない。千葉県印西市周辺など既にデータセンター集積地となっている地域を含め、日本でも用地や電力確保をめぐる地域との合意形成が今後の課題として意識され始めている。今回の事例が示すのは、議会での賛成決議が数字の上でどれほど圧倒的でも、電力の調達方法、水の使用、住民への影響についての約束が、採決前に法的な拘束力を伴う形で固められていなければ——住民が実際に請求書の変化を目にしてから対応するのでは遅く——その後の政治的な反発によって数カ月で覆されかねないという点だ。日本でデータセンターの立地を目指す企業にとっても教訓は同じで、税制優遇や雇用創出の約束だけでは、立地先の地域との持続的な政治的合意はもはや得られない。ネビウスがインディペンデンスで行ったように、独自の電源と閉ループ式の水利用計画をあらかじめ交渉しておく事業者こそが、結局は最も早く前に進めることになる。

出典

  1. Independence voters recall councilman tied to data center tax voteKCTV5 · 2026年9月2日
  2. Independence approves hyperscale AI data center, issues $150 billion in bondsKSHB 41 · 2026年3月3日
  3. Data centers spark dozens of recall petitions against local officialsNewsweek · 2026年7月8日
  4. Local Pol Bounced Hard Over Data CenterTalking Points Memo · 2026年9月2日

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